People for LONGLIFE 06

ヘーベルというサイエンスに魅せられ、
住まいの未来に挑んでいる人。

住宅総合技術研究所
主幹研究員

松井 久仁雄

数多くの科学者たちのバトンを受け継ぎ、
ヘーベル版をもっと進化させていきたい。

1995年からHEBEL HAUSの建材である「ヘーベル版(ALCコンクリート)」の素材研究を続けています。ALCコンクリートはヨーロッパの地質学や結晶学の著名な科学者たちの研究から生まれた素材です。私は先人たちの研究を礎にしながら、サイエンスに基づいた検証を続けることで、その新たな可能性の研究・開発を進めています。ヘーベル版は珪石を始めとした自然界の原料を使って作り上げるために不純物が入りやすく、性能に変動が生じることが課題でした。しかし現在では窯の中で何が起こっているか、その様々な解析やシミュレーションができるようになり、安定した性能を引き出すことができるようになりました。私は LONGLIFEというコンセプトは、サイエンスにおいても常に検証され、支えられていくべきものであると考えています。

そこには世界を変える
たくさんの未知の可能性がある。

ヘーベル版の素晴らしさは、強度・断熱性・耐火性・そしてデザインや施工のしやすさなど、その優れたバランスにありますが、実はそれだけでなくまだまだ解明できていない可能性があるんです。ヘーベル版の中にはナノメータサイズ、1ミクロンの1000分の1の孔(あな)が空いています。その孔(あな)には調湿性能といって、外の湿度が変わったときに室内の湿度を安定させたり、有害物を吸収してくれる性能があることが分かりました。こうした新しい素材の性能が研究を通してさらに見つかってきています。これからはCO2の削減など、地球規模の様々な課題が生まれています。ヘーベル版の可能性を追求していく先には、建材を超えて世界の課題を解決する新しい価値を届けられるのではないかと考えています。

今日までの延長線の中にはない、
人々が求めているものに科学で応えたい。

科学が果たすべき役割は、世の中の人がこれが欲しいと言葉にできるものに応えることではなく、その先にあるまだ誰も気づいていない価値を、科学者自らが見出して届けていくことだと考えます。ヘーベル版は世界中の科学者たちの研究の中から生み出された素材です。人々のニーズを読み解いて、マーケティングを通して生まれたものではありません。だからこそ私たち研究者は、これからも路線が引かれた研究ではなく、ゼロからイチを創り出すチャレンジを続けることで、素材をさらに進化させ、安心・安全・便利といったニーズの先にある、まだ誰も気付いていない住まいの価値を見出して応えていかなくてはならないと考えます。

※この記事は2021年3月時点のものです。